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はいっ☆School Live□ 4月8日


垣原芽衣子(かきはら・めいこ):金髪ツインテールの童顔幼児体型な高校二年生。明るく表情豊か。和絃に惚れている。
櫻井和絃(さくらい・かいと):学園で一、二を争うイケメン。運動神経抜群で勉強も出来るがひたすらに天然で変わり者。
榊野詠梨(さかきの・えいり):次期生徒会会長最有力候補の才色兼備なお嬢様。穏やかだがクールな雰囲気を持っており、周りからは高嶺の花扱いをされている。芽衣子が大好き。

芽衣子
「私も今日から高校二年生か……。
 鏡見て、ツインテール振り乱して、よし完璧!
 今の私は阿修羅すら凌駕する可愛さっ。これなら櫻井君のハートもきっとキャッチ出来るよね」

和絃
『垣原、滝壺は壺の種類じゃない。これからは間違えないようにな』

芽衣子
「あぁっ、櫻井君。待ってて。
 出会ったあの日から2ヶ月だか3ヶ月だかそのへん。
 この垣原芽衣子が櫻井君の心を奪うから。そう、櫻井君の心拍数を秒間1万回くらいにしてあげちゃうんだから!」

詠梨
「多分それだと、櫻井君は死んでるわ」

芽衣子
「ひゃぅっ!? え、詠梨ちゃん? どうしてここに?」

詠梨
「こんなこともあろうかとワープ出来るクリスタルを装備していたのよ。
 というのは冗談として、チャイムを鳴らしたら妹さんが家に入れてくれたのよ」

芽衣子
「あー、そうだったんだ。
 って、まだおはよう言ってなかったよね。おはよう、詠梨ちゃん」

詠梨
「おはよう、芽衣子。今日もとっても可愛いわ」

芽衣子
「えへへ」

詠梨
「でもね、芽衣子。一つお知らせがあるの」

芽衣子
「え、何?」

詠梨
「このままだと遅刻する」

芽衣子
「へ?」

詠梨
「ほら」

芽衣子
「あ――本当だぁぁっ」

詠梨
「ごめんなさいね、本当だったらもっと早くに声をかけるつもりだったのだけど。
 トリップして高らかにおかしなことを言っている芽衣子が、あまりにも愛らしかったから……」

芽衣子
「待って、詠梨ちゃんいつから部屋にいたのっ!? 後、褒められてるんだかけなしてるんだかそれ分かんないよっ!?」

詠梨
「私は芽衣子が何をしていてもプリティーだと思っているわ」

芽衣子
「そういう話をしているんじゃないような気がするんだっ」

詠梨
「それはそれとして」

芽衣子
「それはそれとされたっ」

詠梨
「遅刻するわよ」

芽衣子
「そうだった!」

詠梨
「とりあえず下に降りましょう。
 大丈夫、リムジンを待機させているから」

芽衣子
「何その状況。ある意味、私の心臓がやばいんだけど」

詠梨
「えっ、芽衣子大丈夫? 医者を呼ばなきゃ」

芽衣子
「そういうことじゃないよ!?」

詠梨
「え、でも心臓がやばいって」

芽衣子
「緊張するっていう意味ね!」

詠梨
「そういう意味だったのね。てっきり心筋梗塞でも起こすのかと」

芽衣子
「突然一大事過ぎるよ。
 後やっぱりリムジンは無し。ここは学生らしく走ってこう?」

詠梨
「分かったわ」

芽衣子
「……詠梨ちゃん」

詠梨
「どうしたのかしら?」

芽衣子
「どうして、私をお姫様だっこ?」

詠梨
「大事な芽衣子の足に負担をかけさせたくないから」

芽衣子
「過保護過ぎるよ!?」

       □

芽衣子
「いやあ、間に合って良かったよね」

詠梨
「そうね。……芽衣子は随分辛そうだったけど大丈夫?」

芽衣子
「大丈夫っ。というか、詠梨ちゃんは全然息切れしてなかったよねっ」

詠梨
「私は、昔から色々運動もしてたから」

芽衣子
「それにしたって凄いよ。伝説な巨神(きょじん)の無限力もびっくりのスタミナだもん」

詠梨
「そこまで大層なものになった覚えは全くないけれど、とりあえずありがとうと言っておくわ」

芽衣子
「うんっ。いやあ、流石菜食顕微鏡って言われてる詠梨ちゃんって感じだよ-」

詠梨
「この訂正は何となく自分でしたくはないのだけど、多分私が言われてるのは才色兼備よ」

芽衣子
「あれ、そうだっけ?」

詠梨
「えぇ。芽衣子が言った名称のままだと私は既に人間どころか生物ですらなくなってるからね」

芽衣子
「そっかぁ。菜食顕微鏡の方が眼良さそうなのになぁ」

詠梨
「大事なのはそこなのね」

和絃
「あれは誰だ。誰だ。誰だ。俺は櫻井。櫻井和絃」

芽衣子
「櫻井君だ!」

詠梨
「どういう登場台詞なのかしら……」

和絃
「おはよう、みんな。今日は良い雑草がとれた。欲しい奴がいたら俺の所に来てくれ」

芽衣子
「櫻井君……今日もかっこいい」

詠梨
「……顔もスタイルも確かに良いと思うけど、芽衣子はあれでいいの? かなり不思議なことを口走ってるけど」

芽衣子
「あれでいいのなんて失礼だよ。櫻井君こそ非の打ち所しかない素晴らしい人なんだから」

詠梨
「そう。後、芽衣子。それを言うなら非の打ち所が無いよ。それだと欠点しかない人になっちゃってるから」

芽衣子
「嘘っ!? うっ、胸の高鳴りで思考が混乱してるみたい。わけもわからず自分を攻撃しちゃいそう」

詠梨
「とりあえずまずは落ち着きましょうか」

芽衣子
「そうだね、オチをつけよう」

詠梨
「そうではなくて」

芽衣子
「おっちんする?」

詠梨
「可愛いけどそうでもないわ。後、その台詞って今思えば割と卑猥ね」

芽衣子
「え?」

詠梨
「ごめんなさい、私が汚れていただけみたい」

芽衣子
「……?」

詠梨
「気にしないでいいから。
 それよりクラス分けの名簿見に行きましょう?」

芽衣子
「あっ、うん!
 えーと、えーと……そうだっ」

詠梨
「どうしたの、芽衣子」

芽衣子
「クラス分けの名簿を見る前に、ありったけの精神力で櫻井君と同じクラスになれるようにって祈りを捧げるの」

詠梨
「……結果が出た後にやって意味があるのかしら」

芽衣子
「私の中では結果はまだ出てないよ!」

詠梨
「あぁ、うん。そうね」

芽衣子
「ぬぬぬぬぬ……うぅ、くぅ、ふぅ……あふぅ」

詠梨
「め、芽衣子……? よれよれよ?」

芽衣子
「MPが、尽きちゃって……」

詠梨
「……とりあえず、結果を見ましょうか。ほら、立てる?」

芽衣子
「うんっ」

詠梨
「さて、同じクラスに愛しの彼はいるかしらね。
 (正直、私としてはいてほしくないけれど)」

芽衣子
「あっ、やった……。やった、やったよ詠梨ちゃん! 私、櫻井君と一緒のクラスだー!」

詠梨
「(残念。でも、芽衣子の幸せが私の幸せ。芽衣子が喜んでいるのならそれでいいとしましょう)
 良かったわね芽衣子。おめでとう」

芽衣子
「ありがとう! あっ、しかも詠梨ちゃんとも同じクラスだ!」

詠梨
「あら。良かった、二年でも私達一緒にいられるのね」

芽衣子
「だよだよっ。MPなくなるまで頑張った甲斐があったよー」

詠梨
「そこ、ひたすらに推すのね」

和絃
「二人とも」

芽衣子
「はうわっ!? さ、ささささ櫻井君っ!? えっと、えっとクラス同じになるねるねねるね!? よろしくメカドック!」

和絃
「あぁ、よろしくブラックジャック!」

詠梨
「……よろしく。それで、急にどうしたの?」

和絃
「心なしか綺麗な雑草だ。いるか?」

詠梨
「そういえば、さっき良い雑草がとれたとか言ってたわね。
 でも、私は遠慮しておくわ」

和絃
「そうか。なら、君はどうだ。垣原」

芽衣子
「わ、私はいりますっ。私に雑草をください!」

和絃
「レアにするかウェルダンにするか」

芽衣子
「レアダンで!」

和絃
「レアダンで……!? 聞いたこともない焼き方だ。ダンジョンを感じる……!」

詠梨
「どこから突っ込めばいいのかしら」

和絃
「どこからでも構わない」

詠梨
「何も言わないからね」

和絃
「無言を決め込むとは、次期生徒会会長最有力候補の名が泣くぞ」

詠梨
「別に泣かないわよ。泣く理由が無いわよ」

和絃
「くっ、手強いな。俺が戦ってきた中でも君は2、3番目に強敵だ」

詠梨
「貴方は何と戦ってるの……?」

和絃
「そうこうしている内に雑草が焼けたわけだが、これをどう思う」

芽衣子
「……凄く何もない」

和絃
「雑草が焼ける。それは、完全な焼失を意味していたんだ。彼はもう二度と俺の手には戻らない」

芽衣子
「雑草さん……っ。私が、私がレアダンなんて言ったばっかりに」

和絃
「垣原、そう気負うな。彼は俺達の中で生き続ける。そう、永遠に」

芽衣子
「櫻井君……」

詠梨
「何だか頭が痛くなってきたわ」

和絃
「何だと。大丈夫か、病院を作るか」

詠梨
「せめて保健室に連れてってくれる?」

和絃
「お姫様抱っこでか?」

詠梨
「求めてないから」

芽衣子
「(はっ。これはもしかして私もどこかしら痛いことにすればお姫様抱っこをしてもらえるんじゃ!)
 はぁぅ。うっ、突然傷が……傷が疼くんだよぅ」

和絃
「大丈夫か、俺が病院になろうか」

芽衣子
「う、ううん。それはいいの。保健室に、保健室にお姫様抱っこで連れてってくれれば私はそれで……っ」

和絃
「なるほど、分かった。お姫様抱っこだな。では、失礼して――はっ、このプレッシャーはまさかぐわぁぁぁぁ!?」

芽衣子
「櫻井君ーーーーー!?」

和絃
「くっ、まさか外から飛来しら野球ボールで顔面を強打するとは――。迂闊、だった」

芽衣子
「櫻井君ーーーーー!!」

詠梨
「……とりあえず、保健室に運びましょうか」
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朝なんですよっ、お兄さん!


一樹(かずき):お兄さん。ツッコミ担当。
絢音(あやね):妹。お兄さんが大好きでちょっぴり(?)卑猥。

絢音
「おはようございますっ! 朝ですよ、お兄さん!」

一樹
「あぁ、うん。おはよう絢音」

絢音
「とりあえずまずは、おはようのチューでもしますかっ!?」

一樹
「いや、しない。普通に起きる」

絢音
「何故に!?」

一樹
「寧ろ何故にしようとした」

絢音
「そんなの決まってるじゃないですか。私が、お兄さんを大好きだからですよ~」

一樹
「ごめん、知ってた」

絢音
「だったらオッケーですよね。猛烈にぱいれーつなチューを!」

一樹
「俺の妹はいつから海賊になったんだ」

絢音
「ふふ、私はお兄さんの唇という宝物を奪う愛の海賊ですよ」

一樹
「上手いこといったみたいな顔して言うんじゃない」

絢音
「じゃあ、こういう顔で」

一樹
「苦い顔をされても困る」

絢音
「うーん、お兄さんはわがままですねー。だったらどうすればいいんですか?」

一樹
「とりあえず、俺の上から退こうか」

絢音
「はっ、すみませんっ!
 普通に起こそうとしたつもりだったのに、いつの間にやらお兄さんの大事な部分の暖かみを感じたくなってしまっていたみたいで!」

一樹
「衝撃的且つ危険すぎる告白を大々的に言うんじゃないっ。後、声がでかい」

絢音
「隣人に聞かれるかもしれませんもんね、しっかりとした発音と発声でなきゃいけませんよね」

一樹
「どうしてあえて聞かせようとしてる」

絢音
「お兄さんと私の関係を見事、誤解させる為です!」

一樹
「そこにどんなメリットが」

絢音
「私が嬉しいっ!」

一樹
「……」

絢音
「あはは、冗談ですよ。
 流石にそこまではしませんって」

一樹
「じゃあ本当、とりあえず俺の上から退こうか」

絢音
「はい、体位を変えますね」

一樹
「絢音、怒るぞ」

絢音
「ごめんなさい」

一樹
「それで、朝ご飯はもう出来てるのか?」

絢音
「はい、私の涎と血の入った――」

一樹
「――ちょっとコンビニ行ってくる」

絢音
「冗談、冗談ですって!」

一樹
「本当か」

絢音
「本当です。普通のベーコンエッグですっ」

一樹
「じゃあ、リビング行くか。
 絢音は先に行っててくれ。俺は着替えるから」

絢音
「何を言っているんですかお兄さん、お兄さんのお着替えは私がするに決まってるじゃないですか」

一樹
「決まってねーよ」

絢音
「じゃあ、お兄さんが私のお着替えを?」

一樹
「お前もう着替えてるだろ」

絢音
「大丈夫です、とりあえず服脱ぎますから」

一樹
「大丈夫どころかアウトだ!」

絢音
「アウトっちゃいましょう」

一樹
「断る」

絢音
「えー、一線を越えちゃいましょうよ」

一樹
「軽いノリでお前は何を言ってるんだ」

絢音
「ナニをしちゃいましょうってことです!」

一樹
「とりあえず、何か頭に問題がありそうだから病院に行くことをオススメする」

絢音
「むぅ、私はお兄さんのことが大好きなだけですよぅ」

一樹
「大好きなのは嬉しいが、色々と開放的過ぎるのは良くないからな」

絢音
「じゃあ、お兄さんを縛って閉鎖的な暮らしを」

一樹
「どんなヤンデレだよ!」

絢音
「駄目、ですか?」

一樹
「可愛くいっても駄目なものは駄目だ」

絢音
「でも、駄目って言われても無理矢理しちゃうのがヤンデレですよね」

一樹
「そこだけ無意味に冷静になるな。怖いから」

絢音
「じゃあ、ツンデレが良いですか?
 べ、別にお兄ちゃんの為に脱ぐんじゃないんだから!」

一樹
「言いつつ脱ごうとしなくていいからなっ」

絢音
「元服(げんぷく)でしょー」

一樹
「眼福の間違いだよな。男性を成人にする為の儀式を執り行ってないよな」

絢音
「良いんですよ、私がお兄さんを男にしてあげても」

一樹
「別にされたくない」

絢音
「えぇっ、では女にしてあげたほうが……」

一樹
「どうしてそうなった」

絢音
「私はそれでも、お兄さんを愛します!」

一樹
「話を勝手に進めるんじゃない。後、絢音」

絢音
「はい?」

一樹
「とりあえず、俺の上から退こうか」

絢音
「では、体位を変えますね」

一樹
「いい加減にしろっ」

絢音
「あうっ」

ゆめをみて。


朱莉(あかり):明朗快活な栞里の妹。好奇心が強い。
栞里(しおり):優しくおっとりとした朱莉の姉。少々シスコン気味。

朱莉
「お姉ちゃんっ!」

栞里
「あら、起き抜けに急に私を呼ぶなんて。どうかしたの、朱莉ちゃん」

朱莉
「あ、えっと。あれ? そっか、あれ夢だったんだ」

栞里
「夢?」

朱莉
「あ、うん。何か凄い怖い夢を見て」

栞里
「へえ、それはどんな?」

朱莉
「鋼鉄のヒーローに死ねぇっ!って言われながら、思いっきり締め上げられる夢」

栞里
「それはまた、物騒な上にかなり珍しい感じの夢ね」

朱莉
「うん、何なんだろうあの夢。正夢だったらどうしようっ!」

栞里
「流石にそこまで荒唐無稽な出来事は、現実では起こらないと思うけれど。
 そうね、朱莉ちゃんが見たのは逆夢(さかゆめ)ではないかしら?」

朱莉
「逆、夢?
 というか、なんでお姉ちゃん私のことを抱きしめてるの?」

栞里
「嫌だった?」

朱莉
「嫌じゃないよ? 寧ろ安心するけど……」

栞里
「良かった。
 逆夢っていうのはね、夢とは逆のことが起こるといわれる夢のことなの」

朱莉
「あっ、それでお姉ちゃん」

栞里
「抱きしめられることで抱く感情が逆ともいえるものなら、これも逆夢になるかなって」

朱莉
「……お姉ちゃん」

栞里
「ふふ、これでさっきより落ち着いたんじゃない?」

朱莉
「……ありがとう」

栞里
「どういたしまして」

       □

朱莉
「そういえばなんだけどさ」

栞里
「えぇ」

朱莉
「眼の見えない人って、夢を見るとどうなるの?」

栞里
「確か、全盲の人でも色のついた夢を見るらしいわよ。
 聴覚とか嗅覚、触感に感情。そういったものに含まれるイメージを夢の中でカラフルにして見られるんですって」

朱莉
「夢って凄い」

栞里
「そうね、睡眠の欲求はとても強いから。その強さが色々なことに応えてくれるのかもね」

朱莉
「じゃあじゃあ、好きな夢を見るとかは出来ないの?」

栞里
「どうかしら。ただ、心配事とかを減らしていれば嫌な夢は見辛くなるって聞いたことがあるわ」

朱莉
「心配事かぁ……。締め上げられるような心配事はしてない筈なんだけどなぁ」

栞里
「ふふ、夢も直接的ではないということね」

朱莉
「うん? どういうこと?」

栞里
「例えば、獣のような瞳なんて表現があるでしょう? あれは実際に獣の瞳ではないじゃない。
 夢の内容も同じ。締め上げられる夢を見ても、それは純粋に体を締め上げられることを指しているわけではないのよ」

朱莉
「つまり、私の心が悲鳴をあげてる、的なっ!?」

栞里
「そういうことね。
 悩みがあるなら、私はいつでも聞くのに」

朱莉
「うーん、思い当たることがまず無くて」

栞里
「それはそれで正直びっくりなのよね」

朱莉
「え?」

栞里
「ううん、朱莉ちゃんは純粋で良い子だなって思っただけよ」

       □

朱莉
「それじゃあ、おやすみなさい。お姉ちゃん」

栞里
「おやすみなさい、朱莉ちゃん」

朱莉
「あ、やっぱり待って」

栞里
「どうしたの?」

朱莉
「怖い夢を見るのが怖いです!」

栞里
「あらあら」

朱莉
「寝ないっていう選択肢っ」

栞里
「寝ていても、3日間夢を見る前に起こされた学生は精神病の症状が出たそうよ」

朱莉
「それは怖すぎるようっ」

栞里
「じゃあ、寝ないとね」

朱莉
「でも、どうしよう。どうやったら寝れるかな?」

栞里
「手でも握る?」

朱莉
「いいね、って流石にこの歳になってそれは恥ずかしいよ」

栞里
「そう、私は良いと思うけど……。
 朱莉ちゃんがそう言うのなら、仕方ないわね」

朱莉
「それで、何か良い方法あるかな?」

栞里
「んー、じゃあおまじないみたいなものだけど好きな本を枕の下に置くっていうのはどうかしら?」

朱莉
「痛そうだよ?」

栞里
「よっぽど分厚いもので無ければ案外そうでもないわよ」

朱莉
「おっ、あぁっ、ほんとだっ!」

栞里
「でしょう」

朱莉
「これで少女漫画な夢、見られるかなっ?
 髪に苺大福ついてるよ、ってイケメンに言われるかな?」

栞里
「そのシチュエーションは私にはよく分からないけれど……。
 朱莉ちゃんが見たい夢を、ちゃんと見られるといいわね」

朱莉
「うんっ!」

栞里
「じゃあ、改めておやすみなさい」

朱莉
「おやすみなさーい」

栞里
「……あら」

朱莉
「くーくー……」

栞里
「もう寝ちゃった。
 そういえば、こんな夢を今朝見たような……。ふふ、正夢だったのかもね」

好きという気持ちだけ。

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雪の降る夜、月の輝く空の下



冬城紗雪(とうじょう・さゆき):高校二年生。ぶっきらぼうな性格で意固地な所がある。
霜月煉子(しもつき・れんこ):高校二年生。大人びた雰囲気を持つ美人で妖艶な少女。
氷咲初実(ひさき・はつみ):高校二年生。気さくで適度に明るくたくさんの友達を持つ少女。紗雪とは自称・親友。
少女:少女。

紗雪
『雪の降る夜、月の輝く空の下。
 私は、彼女と出会った』

       □

紗雪
「帰り、遅くなっちゃったな。
 どうしよ、ちょっと危ないかもだけど近道して帰っちゃうかー」

少女
「ん……ぁっ」

紗雪
「(今日の晩ご飯何だろ……)」

少女
「んぅぅ、ぁ……っ」

紗雪
「(初実が後で通話しよとか言ってたし、ぱぱっと食べられるものならいいけど)」

少女
「はん、ぁっ、くぅ」

紗雪
「てか、何かさっきから聞こえるような」

少女
「ぁっ、んんっ」

紗雪
「……この声、もしかして。いや、無いでしょ。
 幾ら人通りが少ない場所だからって、まさか、ね――って、え?」

少女
「はぁ、くぅ……んっ」

紗雪
「嘘」

紗雪
「(人が、人の指を噛んでる……? 噛まれて、喜んでる……?)」

少女
「ん、ぁ……」

紗雪
「(それに、あの噛んでる方の女の子。私知ってる……。
 ――霜月煉子。氷みたいに綺麗で蠱惑的(こわくてき)な人。私の、クラスメイトだ)」

       □

初実
「紗雪、さーゆっき」

紗雪
「ん……んぅ、初実?」

初実
「はいはーい、初実ちゃんだよ。
 紗雪ってば授業中思いっきり寝てたみたいだけどどうしたの? 寝不足?」

紗雪
「あー、うん。ちょっと最近変な夢見ちゃってて」

初実
「へえ、どんな夢?」

紗雪
「……えーっと、あれ。どんな夢だったっけ。忘れちゃった」

初実
「えー、何それ。気になるんだけど」

紗雪
「気になられても忘れちゃったものはしょうがないよ。
 それより初実、後でさっきの授業のノート見せてくれる?」

初実
「ごめん、実は私も寝てた」

紗雪
「あんたもか……」

初実
「まあまあ。こういう時は優等生に借りればいいよ」

紗雪
「優等生って――まさか」

初実
「霜月さーん、ノート貸してくれるー?」

煉子
「ノート? あぁ、いいわよ」

初実
「おぉ、流石霜月さん! ってことでノート借りれたよ紗雪!」

紗雪
「あ、うん」

煉子
「ふふ、明日の朝には返してね」

紗雪
「えっと、ありがとう。霜月さん」

煉子
「どういたしまして」

紗雪
「っ」

紗雪
『彼女の笑顔に、私は思わずどきりとする。
 少女の指を噛んでいたあの時の姿が重なる。不思議と、鼓動が高鳴った』

紗雪
「……それじゃあ」

煉子
「ねぇ、冬城さん」

紗雪
「……何?」

煉子
「今日の放課後、少しお時間あいてるかしら?」

       □

紗雪
「気付いてたの?」

煉子
「貴方が、覗き見してたこと?」

紗雪
「う、うん」

煉子
「気付いてたわよ。
 随分と、食い入るように見ていたじゃない」

紗雪
「っ……そりゃ。誰だってあんなの見ちゃったらそうなるでしょ」

煉子
「そう? 普通は眼を逸らすんじゃないかしら」

紗雪
「……」

煉子
「ふふ」

紗雪
「霜月さんは、どうして私を呼び出したの?」

煉子
「どうしてって。冬城さんは分からないのかしら」

紗雪
「分からないのかしらって。分からないよ、分かるわけないでしょ。霜月さんの考えなんて」

煉子
「そう。だったら自分が今したいことは?」

紗雪
「は? 何言って……」

煉子
「貴方の今したいことは。私に言いたいことはなあに?」

紗雪
「っ……!?」

紗雪
『私を覗き込む黒の瞳に、体がびくんと反応する。
 霜月さんの白い指が私の胸をなぞって、心臓の付近をとんと突(つつ)いた』

煉子
「ほら、教えて。
 貴方の心は何て言いたいのかしら?」

紗雪
「っ……!」

煉子
「あら」

紗雪
「な、何のつもりなの……っ。あの子の指みたいに私の指も噛みたいの?」

煉子
「えぇ、噛みたいわよ。それに、貴方は私に噛まれたいのでしょう?」

紗雪
「馬鹿なこと言わないで! 私は、そんな変な趣味無い! 私は普通なんだから!」

煉子
「ふうん。
 だったら、試してみましょうか」

紗雪
「へ、ぁっ、ぁぁっ!」

煉子
「どうかしら?」

紗雪
「っ……痛、い。痛いよ馬鹿っ」

煉子
「それだけ?」

紗雪
「え?」

煉子
「そうは、見えなかったものだから」

紗雪
「頭おかしいんじゃないのっ」

煉子
「かもしれない。でもきっと、貴方も同類。
 だから、してほしくなったらいつでも言って頂戴。私が貴方の望むまま、ちゃあんとしてあげる」

紗雪
「っ……帰る」

煉子
「ふふ。えぇ、さようなら。また明日ね」

       □

紗雪
『あの日から、噛まれた指が小さく疼く。
 残る歯形を見てみれば、その度に動悸がして暫くは治まらなかった。
 けれど、でも。私がまさか。そんなわけないよって否定する。だって私は普通だもの。噛まれて喜ぶなんて、そんなことあっちゃいけないもの』

       □

紗雪
「あ」

煉子
「あら」

初実
「お、紗雪ー。どうしたの? また寝てて霜月さんにノート借りに来たの?」

紗雪
「いや、別に。ここ廊下だし、たまたま通りがかっただけだけど」

初実
「そっかそっか。じゃあ、一緒に購買いかない? 私今日お弁当忘れてきちゃってさ」

紗雪
「いいけど」

煉子
「じゃあ、私はこれで失礼するわね」

初実
「おっ、了解。また教室でねー」

煉子
「えぇ」

紗雪
「……」

初実
「どうかしたの、紗雪。霜月さんの後ろ姿なんてじっと見て。もしかして恋?」

紗雪
「そんなわけ、ないでしょ」

初実
「あれ、リアクションが薄い」

紗雪
「普通だよ。
 それより、今更だけど初実って霜月さんと仲良いの? さっきも二人で話してたみたいだし」

初実
「うーん、そうだね。まあ、結構良い方だと思うよ。親友は紗雪だけどねっ」

紗雪
「何それ」

初実
「紗雪、冷たーい」

紗雪
「うるさい。ていうか、霜月さんとは何の話するの?
 あんまり趣味とか合いそうには見えないけど」

初実
「うーん、好きな食べ物の話とか?」

紗雪
『それだけの言葉で、私は指を噛まれる所を強く想像してしまう。
 抑えていたものが溢れ出しそうになるのを、私は唇を噛んで堪えた』

紗雪
「っ」

初実
「え、私何か変なこと言った?」

紗雪
「あ、いや、ううん。ごめん。ちょっと靴に小っちゃい石入ってたみたいでさ」

初実
「あー、たまにあるよね」

紗雪
「(私、何を考えてるの。好きな食べ物って聞いただけであんな……)」

       □

紗雪
『きっと、このまま。何もしないまま。
 彼女に会っても、普通にしていれば平和な学園生活を送れる。
 多少辛いことがあったとしても、あくまで当たり前の範疇で私は生きていけるんだと思う。
 でも、私はもう耐えきれない。
 だって私は、消えていく痕に焦ってる。毎夜噛まれる夢を見ている。倒錯してるんだ。私は、彼女の狂った魅力に』

       □

煉子
「来たのね、冬城さん。待っていたわ」

紗雪
「……」

煉子
「だんまり?」

紗雪
「……噛んで」

煉子
「不器用な言い方」

紗雪
「悪い?」

煉子
「いいえ、そういう子も私は好きだから」

紗雪
「っ……ぅっ」

煉子
「どう、かしら?」

紗雪
「んぅっ、はぁ、くぅっ」

紗雪
『氷のように、熱のように、彼女が私の指を食むと脳の奥がじんとした。
 まるで麻薬を打たれたように、まるで媚薬を打たれたように。意識は解けて力は抜けて、立っていることすらままならなくなる』

煉子
「随分と心地良さそうね。いいのよ、横になって。私が抱いてあげる」

紗雪
「はぁんっ……んぅっ、ぁぁっ」

煉子
「ほら、気持ちが良いんでしょう? 意固地にならずに正直に言ってみなさい」

紗雪
「あんっ、ぁぁっ、くっ、そんな、こと」

煉子
「だったら、どうして私の所へ来たの?
 だったら、どうして私に噛んでといったの? いい加減、素直になればいいのに」

紗雪
「っぅ、そんな、の。だって……ぇっ、ぁ、んぅ」

煉子
「率直な感想、聞かせてくれないの?」

紗雪
「恥ず、かしい……っ」

煉子
「この状況で今更でしょう。
 貴方も私もおかしいのよ。認めなさい、貴方の異常を」

紗雪
「はぁ、んっ!」

煉子
「ほら、指以外も噛んでほしいんでしょう。
 何処を、噛んでほしいのかしら?」

紗雪
「っ、全、部……ぅぅぁ、ぁぁっ!」

煉子
「だったら言いなさいな、気持ちいいって」

紗雪
「っ、ぅぅぅ、ぁぁっ、き、気持ち、いいっ」

煉子
「ふふ、いいわ。欲張りさん」

紗雪
「ひっ、やぁっ。ぁぁ、ぁぁんっ!」

煉子
「指も腕も、足もお尻も。全部私が美味しく味わってあげる。
 私が、貴方を食べてあげるわ」

       □

紗雪
「ねぇ、霜月さん」

煉子
「何かしら、紗雪」

紗雪
「霜月さんは、あの子ともまだああいうことしてるの……?」

煉子
「ああいうことって?」

紗雪
「……何が聞きたいか分かってる癖に」

煉子
「私はちゃんと聞きたいと思ってるって分かってるでしょ?」

紗雪
「……指を、噛むとかそういうこと」

煉子
「ふふ、どうしてそんなことを聞くの?」

紗雪
「それは」

煉子
「もしかして嫉妬?」

紗雪
「そんなんじゃ」

煉子
「なら、いいけれど」

紗雪
「え?」

煉子
「だって私達付き合っているわけではないでしょう?
 ただ、噛むという行為がそれらしいというだけ。交わっているわけでもないのだから」

紗雪
「それは、そうだけど……」

煉子
「何か不満?」

紗雪
「……不満だよ」

煉子
「どうして」

紗雪
「だって、私は。私は霜月さんのこと――煉子のことが好きだから」

煉子
「紗雪にしてはよく言えました。でも、それは本当に恋かしらね」

紗雪
「どういう意味?」

煉子
「独占欲ではないのかと思って」

紗雪
「っ」

煉子
「なんてね。気持ちは嬉しいけれどやめておいたほうがいいわ。
 これ以上堕ちるのは、貴方にとって良くないことよ」

紗雪
「何それ。どうでもいいよ、そんなことっ。私に好きまで言わせたんだからそんな風に逃げないで!」

煉子
「逃げないで、か。だったら貴方も逃げないでね紗雪。私の所から」

紗雪
「え?」

煉子
「明日の0時、あの道に来て。そこで答えが出ると思うわ」

       □

紗雪
『いつかの少女と同じよう、いつもの私と同じよう。
 喘ぐ少女の声がして、私は気付けば腕へと爪を立てていた。
 醜い嫉妬に歯噛みして、先へ先へと進んでいくと、あの日の再現のように煉子と少女がもう一人。私の視界に映し出された』

初実
「んっ、ぁっ、ぁぁっ!」

紗雪
『途端、心臓が跳ねる。
 少女の姿には見覚えがあった。あれは、初実だ』

紗雪
「初、実……」

初実
「んぅっ、ぁ、ぁっ。もっと、もっと強く。お願いっ」

煉子
「どこを、してほしいの?」

初実
「決まってる、よっ……。大事な、所ぉぉ、っ!」

煉子
「淫らね」

初実
「あは、はっ……あんっ、駄目、だった……? んぅぅっ!」

煉子
「構わないわよ。それでいい。私の前では欲望に身を任せていいの」

初実
「煉、子……んぅっ、はぁんっ、あぁぁっ!」

煉子
「ねぇ、初実。貴方の名前凄く良いわよね」

初実
「何……っ、突、然んんっ」

煉子
「いえ、ちょっと。
 貴方の大事な小さな果実。その初めてを私がもらっちゃおうかしらって思って」

初実
「はぁ、はぁ、え? あ」

紗雪
『その時、ぐちゅりと音がした。
 瞬間、初実の果実は煉子に噛みちぎられる』

紗雪
「ひっ」

初実
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

紗雪
「あ……あ」

紗雪
『何も言えず、私は口元を手で抑える。
 初実が気絶して、煉子が口の中で果実を転がす。
 恐ろしい光景に、けれど私は――』

煉子
「紗雪、貴方の答えが今見えたわ。
 貴方は本当の意味で私の同類。私と同じ本当の異常者よ」

紗雪
「だったら、どうするの?」

煉子
「愛してあげる。
 これからは、貴方だけが私を満たすの」

紗雪
『雪の降る夜、月の輝く空の下。私は、彼女と結ばれた。
 氷のように、熱のように、彼女が私の指を食むと脳の奥がじんとする。ぐちゃり。
 まるで麻薬を打たれたように、まるで媚薬を打たれたように。理性は解けて、情愛が溢れて。私は彼女を、深く抱きしめた』
プロフィール

ラディルス

Author:ラディルス
好きなアニメ:神無月の巫女、京四郎と永遠の空
好きな漫画:ARIA、HELSING、BLACK LAGOON、屍姫、聖痕のクェイサー、Dear、妖狐×僕SS、桜Trick
好きなゲーム:FEシリーズ、ロックマンX、ゼロ、エグゼシリーズ、MELTYBLOOD、BLAZBLUE
好きなゲームE:君が望む永遠、SHUFFLE!、カミカゼ☆エクスプローラー、ゴア・スクリーミング・ショウ、月光のカルネヴァーレ
好きな声優:後藤邑子、佐本二厘、木村あやか、下屋則子、ひと美、南央美、緑川光、杉田智和、中田譲治、小山力也、間島淳司、銀河万丈、etc…(敬称略)
好きなキャラ:涼宮遙、芙蓉楓、遠野秋葉、日向紅葉、来栖川姫子、鷹守ハルカ

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